個人事業と法人の違い、法人化について。税金面以外のメリット。

個人事業主の方から必ずといっていいほど相談がある「法人化したほうがいいのか」について、何回かに分けて書いていきます。

「法人化したほうがいいのかな?」と考えている方に、分けて考えて頂きたいのが

・税金の面以外でメリットがあるかどうか
・税金の面でメリットがあるかどうか

税金の面でメリットがある場合とは、安定してある程度の利益が出ている場合です。そうでなければ余計に税金を払わなければならないこともあります。これについては今後長々と書いていきます。
今回は税金の面以外でメリットがあるかどうかについて書いていきます。

そもそも法人とは、法人化とは

本題に入る前に、そもそも法人とは何でしょう?

答えは会社です。

「当たり前やん」と言いたくなりますが、念のため。

では法人化とは何でしょう?

答えは、会社を作るということです。
それまで個人事業主としてやっていた事業を、会社を作って会社の事業として行うということです。

「同じことやるならたいした違いないやん」と思われるかもしれませんが、法人と個人では色々と違いがあります。

例えば個人事業でお店をしている場合、レジの現金はあなたのものです。しかし、法人としてお店をしている場合、レジの現金は会社のものです。

じゃー会社は誰のものか?と聞かれると、ほとんどの場合「あなたのものです」となってしまい、話がややこしくなるので一旦聞かないでください。

その他にも

平河照之のマイナンバーは非公開ですが、株式会社平河(架空の会社です)の法人番号は公開情報です。
僕のマイナンバーを知ろうとすると口を割らせるしかありませんが、株式会社平河の法人番号は法人番号検索という公式のサイトで公開されています。

平河照之の住所は非公開ですが、株式会社平河の本店所在地は公開情報です。
僕が六本木ヒルズに住んでいることは誰も知りませんが、株式会社平河の本店所在地は法務局に行って登記簿謄本を見れば誰でも知ることができます。

平河照之の家族構成は非公開ですが、株式会社平河の役員の情報は公開されています。
僕の父親がマイケルジャクソンだということは誰も知りませんが、株式会社平河の生みの親たる社長をはじめとして、中心的存在である役員の情報は法務局に行けば誰でも知ることができます。住所まで公開されています。

こういった違いは、社会的信用や税金の面で違った扱いとなります。

税金の面以外でメリットがあるかどうか

では、本題に入ります。

法人化することの一番のメリットは信用力が増すことです。名刺も今までは「屋号+名前」だったのが、「株式会社〇〇 代表取締役○○」と書くことができます。パッと見の印象が違いますよね。

信用力が増すことによって

  • 今まで取引できなかった相手と取引ができるようになる
  • 借入がしやすくなる
  • 優秀な人材を確保しやすくなる

といったメリットがあります。

僕が新卒で働いていた商社も取引先の与信(信用力)には十分注意していました。直接取引ができない場合は、わざわざ間に別の会社を挟んで取引することもありました。
大きな会社になるほど、法人でないと取引できないケースが多いです。大きな会社と取引できると大きな売上につながるチャンスもあるうえ、大きな会社と取引することで、それがまた信用にもつながります。

事業の規模を大きくする予定であれば、法人化は視野に入れておきましょう。

さらに、銀行からの信用力も増すため大きな融資を受けやすくなります。事業規模を大きくするのであれば、設備投資など大きな資金調達が必要な場面がでてきます。また、優秀な人材も法人の方が安心感をもって入社してくれるでしょう。

その他にも

  • 事業承継しやすくなる

というメリットもあります。事業承継は単純にお子さんに事業を引き継ぐという意味だけでなく、会社を売却するという意味も含みます。株式会社化することで、事業承継がしやすくなります。会社の株を売買するだけでいいので。
会社の売買は、中小企業でも一般的になってきています。僕のまわりでもちらほら「売りたい」「買いたい」という話はあります。

ここで書いた税金面以外でのメリットで売上が大きく伸びるようであれば、今の時点では税金面で多少デメリットがあったとしても法人化するといいでしょう。税金面でのメリットは「安定してある程度の利益が出ている場合」に発生するからです。

つまり、税金面でのメリットは後からでもついてくるからです。

とはいえ税金が高くなるなら法人化したくないですよね

税金面以外でのメリットがあっても、売上につながらなければ時期尚早ということになりますし、先のことは分からない場合が多いですよね。
今の時点でどれくらいの税金面を含めたお金のメリットデメリットがあるか把握すると、今なのか、もう少し待つべきか判断する材料になります。

次回以降、税金面でのメリットデメリットについて書いていく予定です。