確定申告Q&A。フリーランスなどの小規模な個人事業の方向け。

「今年から確定申告しないといけないんですけど、どうしたらいいですか?」という相談で、よく聞かれる質問をまとめてみます。

確定申告といっても色々な方がいますが、今回は次のような方々を対象に書いていきます。

  • デザイナー
  • システム開発
  • コンサルタント
  • ライター
  • 美容師
  • インストラクター
  • 非常勤講師
  • 工事の下請け

「まとめてみます」とか偉そうに書きましたが、一回じゃまとめきれなかったので、今後もちょこちょこ書いていきます。

確定申告ってどんな感じ?

相談者
今年から業務委託契約?を結んで個人事業主扱いになったんやけど、確定申告ってせないかんとですか?
税理士
せないかんとです。

雇用契約、つまり社員として給料をもらっていた場合には、会社側が12月の年末調整で年間の税金を計算してくれていました。

個人事業になると、自分で年間の税金を計算して申告(確定申告)しないといけません。

相談者
「自分で計算」ってどういうことですか?
税理士
自分で「収入がxxx円で、それにかかった経費がxxx円で、差引xxx円の利益(所得)がありました。なので私の税金はxxx円です」という計算をすることになります。

収入については、何も引かれていなければ振り込まれる金額がそのまま収入になるので簡単です。
経費は領収書を保管しておいて、それを確定申告の際に集計して計算します。

相談者
それで個人事業主の人は領収書をとっとるんですね!

こちらの記事「青色申告にも2種類ある。65万円控除と10万円控除について。」の真ん中あたりの「確定申告で提出する書類」のところに、確定申告のときに税務署に提出する書類を書いています。
白色申告であれば「収支内訳書」、青色申告であれば「青色申告決算書」という書類に、今年1年間の収入がxxx円、交通費がxxx円、消耗品費がxxx円、経費の合計がxxx円という形で、計算した結果を書いて提出します。

経費ってどんな感じ?

相談者
経費ってどういうのが経費になるとですか?よく事業やりよる友達が飲みに行ったときに領収書をもらいよるけど、それも経費になるとですか?
税理士
事業に関係がある支払が経費になります。という回答だと「そんなん分かっとるわい!」となりますよね・・・

もう少しつっこんで言うと、例えば、飲みに行ってその人が自分のお店に来てくれるかもしれないとか、飲みに行って仕事の相談や打合せをするとか、飲みに行く目的が利益を上げるためという場合あれば経費になります。
この辺の線引きは、正直なところご本人しか判断できません。

相談者
もし税務調査が入った場合、「この飲み代は経費にならんよ」と言われて追加で税金を払わないといけないこともあるとですか?
税理士
あります。自分が立ち合いをした税務調査では経験がないですが、相談に来られた方で、過去に飲み代を否認(経費として認められなかった)されて追加で税金を払うことになった方は何人かいました。白色申告の方でしたが。

それがプライベートなものであれば仕方がないですが、さきほど言ったような事業に関係する飲み代であれば、税務調査で指摘を受けてもきちんと主張すべきです。調査官が納得のいく説明ができれば経費になったのに・・・というケースもあります。

相談者
それ以外に経費ってどんなものがあるとですか?
税理士
お仕事の内容によっていろいろですが、例えば

  • 現場まで行くまでの電車代やバス代などの旅費交通費
  • ガソリン代、車検費用などの車両費
  • 自動車保険などの損害保険料
  • 飲み代や土産代などの接待交際費
  • 打合せをするときの食事代などの会議費
  • 携帯代やハガキ、切手代などの通信費
  • 仕事をするときに使う用具などの消耗品費
  • 自動車税などの租税公課
  • 研修を受けたときの研修費

飲み代や車に関係する費用などは、事業に関係するものとそうでないものを分けるのが難しいので、「何割が事業に関係するものか」按分する必要があります。
その他、自宅の一室で事務処理や作業をする人なんかは、家賃や光熱費の一部を経費に入れることができます。
この場合も「何割が事業に関係するものか」按分する必要があります。

相談者
なかなか面倒くさそうですね(><)
「按分」って何ですか?
税理士
按分というのは、例えば

領収書を集計した結果、年間の車両費が10万円だったとします。平日は仕事、土日はプライベートで車を使う人の場合、約70%(5日÷7日)が事業用となります。
なので、10万円×70%=7万円を収支内訳書や青色申告決算書の車両費の欄に書きます。
これもご本人しか判断が難しいところです。

税理士に頼んだがいいと?

相談者
お店やりよるわけではないけん、税理士さんに頼むほどではないんですよね?
税理士
人によりますが、自分でもできると思いますよ。最初にやり方だけ習うとか、同業の人に教えてもらうとか。税務署でも教えてくれますよ。
ただ、同業の人に教えてもらうのと税務署で教えてもらうのでは違いがあるでしょうね。
相談者
違いがあるって?
税理士
完全にひとりで申告書を作っている方で、正しい申告書ができてる人はあまり見かけません。なので、教えてもらっても間違っていることもあるでしょうね。
税務署で教えてもらうと正しい方法を教えてくれると思いますが、面倒くささが増すかもしれません。

その点税理士だと、色々な効率的なやり方をお客様ごとに考えながら仕事をしているので、正しいやり方で効率の良い方法を教えてくれるでしょう。

相談者
それは・・・平河さんに顧問になってもらえってことですか?
税理士
顧問ではなくスポットで相談されるといいんじゃないでしょうか。もしくは税理士による「無料税務相談会」がときどき市役所や税務署で開かれているので、それに行かれるとか。
ただ、時間制限があるので、そこで「全てマスターする」のは難しいので、自分で実際にやってみて、分からないところを聞くといいでしょう。
相談者
平河さん・・・営業しなくて大丈夫とですか?!開業したばっかですよね?!ガリガリやし、ご飯食べとりますか?
税理士
僕は大丈夫です。パンの耳をもらって帰ります。

お言葉に甘えて営業をさせてもらうと

「自分でもできる」というのはたしかにそうなのですが、節税効果の大きい青色申告の65万円控除というのがあります。
それはなかなか自分で作るのは難しいでしょうね。

相談者
何ですか?65万円控除って?
税理士
詳しくはこちらに書いているんですが、最低約10万円の節税ができる方法があるんです。それを青色申告の65万円控除というのですが、その方法で確定申告をするなら、税理士に依頼するか会計ソフトを使わないと難しいんです。
相談者
い・・・いくらぐらいかかるとですか?
税理士
領収書の入力まで税理士に任せると年間12万円くらいはかかるでしょうね。なので、個別相談で会計ソフトの入力を教えてもらうことをオススメします。
個別相談なら時間単価5,000円くらいなので、例えば月に2時間を3か月やっても3万円くらいですね。
一度そういう形でやり方を教えてもらって、形を作っておくと翌年からは前年の処理を見ながら自分でできるでしょう。

弥生なんちゃらとか会計ソフトの選び方は?

相談者
会計ソフトって使った方がいいんですか?
税理士
会計ソフトを使えるようになっておくと楽ですよ。
手書きで作る人もいますが、会計ソフトを使えるようになっておくと、確定申告にかかる時間も短縮できるうえに、細かい分析や前期との比較、今後のシミュレーションにも使えます。
相談者
弥生なんちゃらとかあるけど、どれがいいんですかね?
税理士
弥生会計ですね。メジャーな会計ソフトは

  • 弥生会計
  • freee
  • MFクラウド

あたりです。

弥生会計はコツコツ入力する人に向いていて、freeeやMFクラウド(いわゆるクラウド会計ソフト)は、はじめにしっかり設定をしておけば自動で帳簿を作ってくれます。
クラウド会計ソフトを使えるようになれば、確定申告はめちゃくちゃ楽になります!

相談者
じゃーfreeeかMFクラウドを使うといいんですね?
税理士
それがオススメです。ただし

  • はじめの設定をしっかりやる
  • 現金払いを減らしてカード払いにする
  • なるべくインターネットバンキングを利用する
  • 事業用とプライベート用を分ける

この辺りをやらないとぐちゃぐちゃになって逆に時間がかかってしまうことになります。
自動で帳簿を作ってくれる分、整理しやすい環境を作っておかないといけないんですよね。
ゴミと大事なものを床に散らかした状態でルンバを走らせるイメージです。

相談者
なるほど。それはひどいことになりますね!

当事務所ではクラウド会計ソフトの導入に力を入れています。

「税理士に顧問を依頼するほどではないけど、確定申告を楽にしたい」
「青色申告65万円控除を使って節税したいけど、会計ソフトの入力は面倒くさい」

という方向けにも、顧問契約ではなくクラウド会計ソフト導入コンサルを行っています。
料金などは、近日中にアップする予定ですが、だいたい6万円くらいになりそうです。

税務調査について

相談者
自分くらいの規模なら税務調査とか入らんですよね?
税理士
何とも言えませんねー。確率は低いですが、ゼロではないです。
実際に、サラリーマンでマンションを貸しているだけの白色申告の人のところに税務調査が入ったことがありましたし。
相談者
税務調査が入ったらいくらぐらいとられるとですか?!
税理士
否認される金額がどれくらいかによりますが、例えば経費が年間50万円否認されれば税率15%としても約8万円。だいたい3年分はチェックされるので、25万円くらい。
それにペナルティがかかるので、30万円くらいでしょうか。確定申告だと年度ごとに税金を納めますが、税務調査の場合、否認された分を一気に納めないといけないのが怖いところです。

 

税務調査についてはこちらの記事も参考にされてください。